大西卓哉宇宙飛行士、国際宇宙ステーション長期滞在を終え無事帰還
宇宙ミッションレポート ・

国際宇宙ステーション(ISS)とは?
ISSは地上から約400km上空を秒速約7.7kmで周回する巨大な有人実験施設です。 地球を90分で1周し、1日で16回も日の出と日没を迎えます。 アメリカ(NASA)、ロシア(ロスコスモス)、日本(JAXA)、ヨーロッパ、カナダなどが協力して運営しています。 宇宙飛行士はここで科学実験や新技術の検証を行い、将来の月・火星探査に向けた準備も進めています。
今回のミッション概要
大西卓哉さん(49歳)は2025年3月にISSへ出発し、約5か月間滞在しました。 帰還には米スペースXが開発した再利用可能な有人宇宙船「クルードラゴン」を使用。 着陸方式は「着水」で、米カリフォルニア州沖に無事帰還しました。 この方法はアポロ計画以来の伝統的な帰還手段で、衝撃を和らげる利点があります。
船長としての役割
滞在中の4月には、日本人として3人目のISS船長に就任。 船長は乗組員の安全確保、作業の進行管理、緊急時対応などを担います。 微小重力下では日常の動作や物の扱い方も地上と異なり、全員が安全に生活できるよう細心の注意が必要です。
注目の研究成果
日本の実験棟「きぼう」では、半導体材料の一種「シリコンゲルマニウム」の結晶生成実験を実施。 地上では重力により難しい均一な結晶形成を、無重力環境で高精度に行えます。 この成果は次世代の電子デバイスや高効率な太陽電池の開発につながる可能性があります。
帰還後の体への影響
宇宙での長期滞在は、筋力低下、骨密度の減少、平衡感覚の変化などを引き起こします。 帰還後はリハビリと健康チェックを重ね、通常生活に戻るまでに数週間〜数か月を要することもあります。 こうしたデータは将来の長期探査ミッションの健康管理にも活用されます。
宇宙飛行の今と未来
ISSは少なくとも2030年まで運用予定ですが、その後は月周回拠点「ゲートウェイ」や火星探査が本格化すると見られます。 大西さんの経験や研究成果は、日本の宇宙開発の未来にも大きな意味を持ちます。